HIITで筋力は伸びる?筋トレと組み合わせて筋力・パワーを高める方法を初心者向けに解説
「筋トレを続けているのに、扱える重量がなかなか増えない……」
「もっと重い重量を持ち上げられるようになりたい!」
そんな悩みを抱えている方は、普段の筋力トレーニングにHIIT(高強度インターバルトレーニング)を取り入れることが選択肢の一つになります。
HIITといえば、脂肪燃焼やダイエットを目的とした運動をイメージする方も多いのではないでしょうか。
しかし、2025年に発表されたレビュー研究では、HIITによる神経系の適応や筋力・パワー向上の可能性についても検討されています。
ただし、HIITだけで最大筋力を大きく伸ばせるとは限りません。 重い重量を持ち上げる能力を高めたい場合は、通常の筋力トレーニングを軸にしながら、目的に応じてHIITやジャンプ運動などを組み合わせることが重要です。
この記事では、HIITの基本から筋力向上につながる仕組み、具体的な実践方法、初心者向けの1週間のトレーニング例までわかりやすく解説します。
HIITとは?筋トレと何が違うの?
HIITとは「High-Intensity Interval Training」の略称で、日本語では高強度インターバルトレーニングと呼ばれます。
短時間の高強度運動と休憩、または低強度運動を交互に繰り返すトレーニング方法です。
例えば、次のような運動がHIITに該当します。
- エアロバイクを全力に近い強度でこぐ
- 短距離のスプリントを繰り返す
- ジャンプスクワットを行う
- ケトルベルスイングを繰り返す
一般的なHIITは、心肺機能の向上などを目的に行われます。一方、ジャンプや爆発的な動作を取り入れたトレーニングでは、瞬発力や素早く力を発揮する能力の向上も目指せます。
筋力・筋肥大・パワーの違い
HIITを筋トレに取り入れる前に、3つの言葉の違いを理解しておきましょう。
| 項目 | 意味 | 具体例 |
| 最大筋力 | 発揮できる最大の力 | ベンチプレスで重い重量を持ち上げる |
| 筋肥大 | 筋肉のサイズが大きくなること | 胸や腕の筋肉を大きくする |
| パワー | 短時間で大きな力を発揮する能力 | 高くジャンプする、素早く力を出す |
この3つは関連していますが、同じものではありません。
例えば、ベンチプレスで重い重量を持ち上げる能力を伸ばしたい人と、ジャンプ力を高めたい人では、適したトレーニング方法が異なります。
そのため、HIITを取り入れる際は、自分が何を伸ばしたいのかを明確にすることが大切です。
2025年の研究から考えるHIITと筋力向上の関係
2025年には、HIITやスプリントインターバルトレーニングが筋力・筋量・筋持久力に与える影響を検討したシステマティックレビューとメタ解析が発表されています。
また、同年にはHIITによる神経筋の適応、筋力、パワーなどについて整理したレビューも報告されています。
これらの研究から、HIITには心肺機能の向上だけでなく、神経筋機能や運動パフォーマンスの改善に役立つ可能性があることがわかります。
ただし、研究結果を正しく理解するためには、いくつかのポイントがあります。
1.神経系の適応が運動パフォーマンスを支える
筋肉を動かすとき、脳や脊髄からの神経信号によって筋肉が収縮します。
筋力を発揮する能力には、筋肉の大きさだけでなく、運動単位の動員や発火頻度、筋肉同士の協調なども関係しています。
運動単位とは、運動神経と、それによって支配される筋線維のまとまりです。
適切なトレーニングによって、こうした神経筋機能が変化し、力を発揮する能力が向上する可能性があります。
HIITやスプリント、ジャンプ運動などは、短時間で大きな力を発揮する動作を含むため、運動の種類や実施方法によっては、瞬発力やパワーの向上に役立ちます。
ただし、HIITを行えば必ず神経の伝達速度が上がる、あるいは筋線維の種類が大きく変化すると断定することはできません。
2.HIITは筋力向上の補助として活用できる
2025年のメタ解析では、HIITやスプリントインターバルトレーニングと、通常の筋力トレーニングなどの効果が比較されています。
その結果、最大筋力を高める目的では、HIITだけでなく、適切な負荷を用いた筋力トレーニングが重要であることが示唆されています。
特に、ベンチプレスやスクワットなどで扱える重量を増やしたい場合は、目的に合った重量・回数・セット数を設定し、少しずつトレーニングの負荷を高めていくことが基本です。
HIITは筋力トレーニングの代わりではなく、目的に応じて追加するトレーニングと考えましょう。
3.瞬発力やジャンプ力の向上を目指せる
瞬発力を高めたい場合には、ジャンプやスプリントなどの動作を取り入れる方法があります。
ただし、ジャンプ運動は一般的なHIITとは異なる目的や負荷設定で実施されることもあります。
例えば、ジャンプを少ない回数で行い、十分な休憩を取る方法は、心拍数を高く保つことよりも、1回ごとの動作の質を重視するトレーニングです。
疲労した状態で回数だけを増やすよりも、正しいフォームと高い動作速度を維持できる範囲で行うことが重要です。
筋力向上を目指すHIIT・関連トレーニング3種類
ここでは、筋力トレーニングと組み合わせやすい3つの方法を紹介します。
なお、スプリントインターバルやジャンプトレーニングなどは、必ずしもすべて同じ意味でのHIITではありません。それぞれの特徴を理解して使い分けましょう。
1.スプリントインターバルトレーニング
スプリントインターバルトレーニングは、短時間の高強度スプリントと休憩を繰り返す方法です。
主に心肺機能やスプリント能力の向上を目指す際に活用されます。
実践例:
- ウォームアップ:5〜10分
- 短時間のスプリント:6〜10秒
- 休憩:十分に呼吸と動作を回復させる
- 体力に応じて数本繰り返す
初心者の場合、いきなり屋外で全力疾走するのは避けましょう。まずはエアロバイクなど、転倒リスクを抑えやすい器具を利用する方法がおすすめです。
スプリントは筋肉や腱に大きな負荷がかかるため、慣れていない方は無理に全力で行わず、段階的に強度を高めてください。
また、スプリントは筋力トレーニングと同じ日に無理に組み合わせる必要はありません。
2.レジスタンス運動を利用したインターバルトレーニング
レジスタンス運動とは、筋肉に抵抗をかけて行う運動です。
例えば、ケトルベルスイングやスクワットなどが該当します。
実践例:
- ケトルベルスイング、または自重スクワットを短時間行う
- 十分に休憩する
- フォームを維持できる範囲で繰り返す
ここで注意したいのが、疲労を感じることと、筋力が伸びることは同じではないという点です。
心拍数を高めることを優先して、フォームが崩れるまで連続して動作を繰り返す必要はありません。
特にケトルベルスイングは、腰や股関節の使い方を身につけてから取り入れましょう。
筋力向上を目的とする場合は、動作の質や負荷の設定を重視してください。初心者はまず通常のスクワットなど、基本的な筋力トレーニングから始めても問題ありません。
3.プライオメトリックトレーニング
プライオメトリックトレーニングは、ジャンプなどの爆発的な動作を利用して、瞬発力やパワーの向上を目指すトレーニングです。
代表例には、次のようなものがあります。
- スクワットジャンプ
- ボックスジャンプ
- その場で行う連続ジャンプ
実践例:
- スクワットジャンプを3〜5回
- 60〜90秒程度休憩する
- 着地や動作の質を確認しながら数セット行う
この方法では、疲労困憊になるまで続ける必要はありません。
ジャンプの高さや着地の安定性が落ちてきたら、セットを終了しましょう。
初心者は、まず通常のスクワットや低い段差へのステップアップなどで基礎を作るのがおすすめです。膝や足首に痛みがある場合は、ジャンプを避けてください。
筋力向上に効果的な筋トレの組み合わせ方
HIITやジャンプ運動を取り入れる場合、通常の筋力トレーニングとの順番も重要です。
基本は筋力トレーニングを優先する
ベンチプレスやスクワットなどで扱える重量を伸ばしたい場合は、疲労が少ない状態で主要な筋力トレーニングを行う方法が適しています。
例えば、次の順番です。
- ウォームアップ
- 必要に応じて軽いジャンプ運動などを行う
- ベンチプレスやスクワットなどの筋力トレーニング
- 必要に応じて補助種目を行う
- 余裕があれば軽い有酸素運動を行う
ジャンプ運動などを筋トレ前に取り入れる場合も、疲労が残らない少ない回数にとどめましょう。
反対に、HIITを長時間行ったあとに重いスクワットを行うと、疲労によってフォームや出力が低下する可能性があります。
筋力向上が最優先なら、HIITを別の日に実施する方法も有効です。
筋力を高めるための回数・重量設定
筋力向上を目指す場合、重い重量を適切なフォームで扱う練習が重要になります。
ただし、初心者が毎回限界まで追い込む必要はありません。
目安として、次のように設定できます。
| 目的 | 回数の目安 | 意識したいポイント |
| 最大筋力 | 3〜6回程度 | フォームを維持できる重量で行う |
| 筋力と筋肥大 | 6〜12回程度 | 十分な負荷とトレーニング量を確保する |
| 筋持久力 | 12回以上 | 無理のない負荷で動作を続ける |
これはあくまで実践上の目安であり、特定の回数だけが唯一の正解というわけではありません。
2026年に公表された米国スポーツ医学会(ACSM)のレビューでは、最大筋力の向上には比較的重い負荷を使用した筋力トレーニングが有効であると整理されています。
また、筋力向上のために毎セット限界まで行うことが必須というわけでもありません。
初心者は、あと2〜3回程度できる余裕を残しながら、正しいフォームを身につけることから始めましょう。
初心者向け!1週間のトレーニングスケジュール
筋力向上を目指す場合、いきなり週4〜5回の高強度トレーニングを行う必要はありません。
まずは週2回の筋力トレーニングを軸に、体力や回復状態に合わせて運動を追加していきましょう。
週2回の筋トレを中心にした例
| 曜日 | メニュー |
| 月曜日 | 全身の筋力トレーニング |
| 火曜日 | ウォーキングなどの軽い運動 |
| 水曜日 | 休養 |
| 木曜日 | 全身の筋力トレーニング |
| 金曜日 | 体調に応じて軽い有酸素運動 |
| 土曜日 | 休養、または軽いウォーキング |
| 日曜日 | 休養 |
筋力トレーニングでは、スクワット、ベンチプレス、ローイングなど、主要な筋肉を使う種目を取り入れます。
基本的なフォームが安定し、疲労が適切に回復している場合は、週1回程度の短時間インターバル運動や、少ない回数のジャンプ運動を追加することも検討できます。
ただし、追加する運動は必須ではありません。まずは通常の筋力トレーニングを継続し、扱う重量や回数の変化を記録することを優先しましょう。
自宅で筋力トレーニングをするなら、何を準備すればいい?
筋力向上を目指すために、最初から高価な器具をそろえる必要はありません。
自分の環境に合った器具を選び、継続できる仕組みを作ることが大切です。
1.トレーニングマット
自宅でスクワットや体幹トレーニングなどを行う方に向いています。
床の硬さや滑りが気になる場合は、運動スペースに合ったマットを検討してみましょう。
おすすめのトレーニングマットを見る
2.可変式ダンベル
可変式ダンベルは、重量を変更しながらさまざまな筋力トレーニングに使用できる器具です。
ダンベルプレス、ローイング、スクワットなど、自宅で複数の種目を行いたい方に向いています。
購入前には、重量の調整方法、最大重量、設置スペース、安全性を確認しましょう。
おすすめの可変式ダンベルを比較する
3.ケトルベル
ケトルベルは、スイングやスクワットなどに使用できるトレーニング器具です。
ただし、ケトルベルスイングは動作の習得が必要なため、初心者は軽い重量でフォームを練習するか、専門家から指導を受けると安心です。
おすすめのケトルベルを見る
※器具を購入する際は、価格だけでなく、自分の体力やトレーニング環境に合っているかを確認してください。
HIITを行うときの注意点
HIITは短時間で高い運動強度を得られる一方、実施方法によっては身体への負担が大きくなります。
特に初心者は、次のポイントを意識しましょう。
1.最初から全力で追い込まない
運動経験が少ない方が、いきなり全力スプリントや連続ジャンプを行うと、転倒や筋肉・関節のけがにつながる可能性があります。
まずはウォーキングや通常の筋力トレーニングから始め、徐々に運動強度を高めましょう。
2.休憩を十分に取る
休憩を短くすれば、必ず筋力向上の効果が高くなるわけではありません。
特に瞬発力を重視する運動では、十分に回復してから次のセットに取り組むことが大切です。
3.疲労が強い日は無理をしない
睡眠不足や強い筋肉痛がある場合は、トレーニングの強度を下げるか、休養を取りましょう。
運動中に胸の痛み、強い息切れ、めまいなどが生じた場合は、直ちに運動を中止してください。持病がある方や運動に不安がある方は、開始前に医療専門職へ相談しましょう。
HIITと筋力トレーニングに関するよくある質問
Q1.HIITだけで筋肉は大きくなりますか?
HIITによって筋量が増える可能性はありますが、筋肥大を最大限に目指す場合は、適切な負荷とトレーニング量を設定した筋力トレーニングが基本です。
筋肉を大きくしたい方は、筋トレを中心に、HIITを補助的に取り入れましょう。
Q2.HIITは筋トレの前と後、どちらに行うべきですか?
最大筋力を伸ばすことが目的なら、基本的には筋力トレーニングを優先しましょう。
ただし、短時間のジャンプ運動などを少ない回数で行う場合は、筋トレ前に取り入れる選択肢もあります。
長時間の高強度運動は、筋トレのパフォーマンスを低下させる可能性があるため、目的に応じて別の日に実施する方法もおすすめです。
Q3.HIITは毎日行った方がいいですか?
毎日行う必要はありません。
高強度運動を頻繁に行うと、疲労が蓄積する可能性があります。初心者はまず週2回程度の筋力トレーニングを習慣にし、回復状態を見ながら運動量を調整しましょう。
Q4.筋力が伸び悩んだら、HIITを追加すべきですか?
必ずしもそうではありません。
まずは、トレーニングの重量・回数・セット数、フォーム、休憩時間、睡眠、食事を見直しましょう。
筋力が伸び悩む原因は一つではありません。HIITを追加する前に、現在のトレーニングで適切な負荷と回復を確保できているか確認することが大切です。
まとめ:筋力向上を目指すなら、筋トレを軸にHIITを活用しよう
HIITは、心肺機能の向上を目指すだけでなく、運動の種類や実施方法によっては、瞬発力やパワーの向上にも役立つ可能性があります。
今回のポイントをまとめると、次のとおりです。
- HIITと筋力トレーニングは目的が異なる
- 最大筋力を高めたい場合は、適切な負荷を用いた筋トレが基本
- ジャンプ運動などは、瞬発力やパワーの向上を目指す際に活用できる
- HIITは必ずしも限界まで追い込む必要はない
- 初心者は週2回程度の筋トレを習慣にし、必要に応じて運動を追加する
大切なのは、やみくもに運動量を増やすことではなく、自分の目的に合った方法を選び、継続しながら少しずつ成長していくことです。
まずは現在のトレーニング内容を振り返り、正しいフォームと適切な負荷設定ができているか確認してみましょう。
筋トレとHIITを上手に使い分けて、効率的な身体づくりを目指してください。
参考文献
- Chi-Hsiang Hung(2025)The Role of High-Intensity Interval Training (HIIT) in Neuromuscular Adaptations: Implications for Strength and Power Development—A Review
※本記事は一般的な運動・健康情報を提供するものであり、個別の医療的アドバイスを目的としたものではありません。
